2021/03/17

Day17:プレゼンスの美しさ ~新しい時代のヒーリングウェーブ~

今日は、少し前のことですが、私のハートに深く触れた出来事をお話したいと思います。
それは市役所に住民票を取りに行ったときのこと。
ドイツの市役所は合理的ですが、日本のように窓口で書類の受け渡しというよりは、
もう少しパーソナルな感じです。
番号票を取って待ち、掲示板に自分の数が点灯すると、そこに示された番号のドアをあけて入ります。
部屋に入ると中はオフィス全体がつながっていますが、目の前の机に座っている担当の人に、「こんにちは!」と挨拶します。
すると「こんにちは、今日は何が必要ですか?」と聞かれます。
私の担当の人は、腕がなくて肩からいきなり手がついている人でした。
私と同じくらいの年齢から、おそらくサリドマイド薬害による障害ではないかと思われます。
サリドマイドは、1960年前後にドイツの製薬会社で製造され世界40か国で販売された鎮静・睡眠薬で
「妊婦にも安心」と宣伝されつわり止めにも使用された薬です。
妊婦さんが服用し、多くの胎児に奇形や死産の影響が出た世界を震撼させた事件でした。
日本でも多くの方が被害に遭われています。
私は「住民票を一通ください。」と答え、パスポートを手渡していくつかの実務的な短い会話を交わし、彼はコンピューターに向かってキーボードを打ち始めます。
最初は彼のことをそんなに見たら悪いような気がしてたのですが、その立ち居振る舞いのあまりの美しさに、思わずじーと見入ってしまいました。
肩からすぐ手が出ているので、背中を丸くしてキーボードに顔をつけるようにして、麻痺で硬直した自由に動かせない指で打ち込んでいます。
その姿がそのままで何故こんなに優雅なんだろうと驚くほど。
生まれつきの身体の使い方に慣れているにしても、彼の一つ一つの動作の中のくつろぎ、今ここにトータルにいる輝き、プレゼンスの美しさ!
私の中の美しい身体の概念が吹っ飛んでしまいました。
すらっと伸びた背筋や四肢、左右対称のバランスといったものがどこかに消えてしまった瞬間でした。
「Acceptance is Transcendence(受け容れることは超越だ)」
というアヌブッダがよく語るOshoの言葉がその時頭に浮かびました。
自分をあるがまま受け容れることの深遠なる神秘なのかもしれないと思いました。
パスポートを返され、プリントアウトした紙をもらい、それを持って窓口で支払いを済ませて戻り、領収書と引き換えに住民票を受け取りました。
全部で10分もかからない時間でしたが、パスポートを手渡す、受け取る、紙を手渡す、受け取る、その手を通した当たり前のやり取りが自分でも驚くほど意識的でハートに触れるものでした。
最後に心からありがとうを言うと、彼もにっこり。
まさにコンシャスタッチの体験でした。
たった住民票の紙一枚のことなのに。
今日は、この瞬間の自分に気づいたら、どんな自分もあるがまま受け容れてみましょう。
きっと、何かがくつろいで、今ここに「在ること」の質、プレゼンスの美しさを内側に感じるかもしれません。
この神秘の可能性に開いていきましょう。
Love, ラサタ